ダイヤフラムと呼ばれる厚さ0.04mmの特殊耐熱合金のプレス加工の経験です。
一般的なプレス加工部品は筐体のように他の部品を保持する構造部品として使われますが、ダイヤフラムと呼ばれる部品はバネとして使用されます。また、特殊な液体を封止する機能も有するためニッケル系の特殊耐熱合金を使用していました(SUSではありません)。形状は複雑で同心円上に配置された山と谷が4つづつあり、その高さの公差は±0.04㎜で同軸度は0.05mmと非常に厳しい公差でした。量産金型は公差を考慮して上型と下型の芯がずれないように一体で加工して高精度に仕上げました。しかし、工程能力がでません。機械プレスでは下死点圧力が安定しないため油圧プレスに変更して工程能力は向上しましたがまだ満足はできませんでした。ある時、材料のブランクを見ていたらまだら模様の油膜があることに気づきました。この油膜は圧延油の油膜の可能性があり、すべてのブランクと金型を脱脂して加工すると工程能力が圧倒的によくなりました。つまり、油膜による摩擦力の変化が工程能力に影響していたということです。その後、加工数が増えていくと寸法が徐々に変化していく現象が出ました。これは金型を清掃するともとに戻ったので、加工時の摩耗粉や焼き付きが蓄積していき寸法を変化させているということがわかりました。ドライ加工をしているので当然です。またある日、山谷形状の同軸度が悪化したことがありました。その時は公差内で工程能力も出ていたので生産に支障はありませんでしたが、摩耗粉除去のために金型清掃を頻繁にするためサブガイドピンの油が切れていたので給油すると同軸度が元に戻りました。サブガイドもピンとブッシュにクリアランスがあるので油が切れると隙間分芯がずれて同軸度が悪化するという現象を初めて経験しました。